トゥインクルキッズ保育園

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ニュージーランド保育園視察 (後編) ー園に取り入れたことー

さて、今回はニュージーランド保育園視察の後編。

実際に研修に行ってみて感じたことや、今の自分たちの園に必要だと思った
大きな3つの学びについてを話したいと思います。

それは「子どもを見る視点」「環境設定」「事前準備と職員間のコミュニケーション」です。

●子どもを見る視点●

ニュージーランドでは、子ども達がとても自立していて、
保育士はほとんど介入しません。
しかし、その中でもとてもよく子どもたちのことを
見ていることに気付きました。

例えば文字を書いている子どもがいます。

できあがったものを見て、
ニュージーランドの先生たちの見る視点は違いました。

「まずペンがもてる」
「諦めずに最後までやる粘り強さ」
「集中している」
「筆圧がいい」
「姿勢がいい」

など数えきれないくらいの姿を見ていました。

どういう風に書けたか、などという「結果」よりも、
それまでの「過程」のほうを大切にしていたのです。

その子がどんな気持ちで取り組んでいたのか、
なぜそれを書こうと思ったのか、書いてみてどう思ったのか、
など気持ちや態度の面をとてもよく見ていました。

それを聞いてハッとしました。

そういう視点をもっていればもっと子ども達の深い部分が見えてくるし、
この子にはこんな気持ちが育っているんだ、
じゃあ次にこんなことを提供しようということまで見えてくると思いました。

そして、その方が結果よりも人としての価値がある。
この視点を大切に今は子どもたちを見守っています。

●環境設定●

最初にニュージーランドでは子ども達が自立的に遊んでいるといいましたが、
それはきちんと遊ぶ環境が用意されているからです。

ただいろいろなゾーンを置くだけでも遊べる子はいますが、
視察して思ったのは本当にどの子も主体的に遊んでいたことです。
自分で遊びを選び、友達を巻きこみ、遊びこめていたのです。

なぜそれを感じたか?

それは日々のゾーンあそびの中でも
環境の中にその時々の子ども達に合った
ワクワクするような仕掛けがあったからです。

絵を描くスペース1つにしても、白の画用紙とクレヨンがあるだけではありません。

色のついた画用紙が円く切ってあり、机の真ん中には昆虫たちのおもちゃがあります。
すると、[子ども達はなんだか目の前の昆虫の絵を描いてみようかな?
という気持ちになるだろう。]という
推測を立てて環境を作っていたのです。

粘土あそびに関しても、カラフルな粘土に色鉛筆が何本も刺した状態で置いてある。
これは驚きでした。

でもこのように最初のきっかけがとても大切で、
そこから遊びを広げていくのは子ども達。

粘土遊びではどんどん遊びが発展し、最後はままごとが始まっていました。

この時に大切だと思ったことがあります。
それはゾーンで遊ぶという概念にとらわれすぎないこと。

(例えば、お絵かきゾーンに昆虫のおもちゃを持っていく、
粘土ゾーンにままごと道具をもっていく、砂場に絵の具を持っていくなど。)

遊びの中で足りないものがあった時、
子どもをゾーンに連れて行こうとすると集中力は当然途切れてしまいます。

そうではなく、子どもに足りないものがあったら、
●そこに必要なものをもっていく
●環境自体に手を加える
それが大切なことだと学びました。

ニュージーランドでは、大人は子どものことをとても信じています。
一人一人が違うことが当たり前で、求めず、比べない。

「こうなってほしい!と思ったら、あとは環境を整え待つだけ。」
この言葉がとても響きました。

環境設定は前にお話しした
『子どもを見る視点』とも大きくつながっています。

今、当園ではこの学びを活かし子どもたちの日々の活動の様子を見守り、
子ども達が発展させた遊びを、さらにどう広げられるかを考えたり、
日常にワクワクを取り入れられるよう環境を整えています。

●事前準備と職員間でのコミュニケーション●

最後に保育園に取り入れたいと感じたことは、
「事前準備と職員間でのコミュニケーション」についてです。

通常、事前に計画を立てて、日々実践していきますが、
その時の子どもたちの興味や関心によって、
翌日計画していたこととは異なる活動を行うこともよくあります。

現地の先生に計画について聞いてみると、
「遊びは子どもたちが決めていくもの。」
という考えがベースにあり、

「計画を持つ良さはあるかもしれないけど、注意しないといけないのは、
計画を立てる時点で遊びのねらいは先生が決めてしまうこと。

そうすると、遊びが先生主導になってしまい、
子ども主導の遊びとは異なる。」
というそのような意見もありました。

それを聞いたときはハッとするような気持ちにもなり、納得もしました。

この考え方は、自由遊びをとても主体的に行っている子どもたちの姿勢があり、
環境に働きかける先生の意識が基本となっているからこそできるのだと思います。

実際、視察をしてきたニュージーランドの園が実践しているような場合は、
子ども達の様子を見ながら、
先生一人一人の個性だったり、特技だったりをそれぞれが活かし合っていました。

それに加えて、おもちゃを入れ替えることや、
仕掛けを設置したりと事前準備が余裕をもって行われています。

そうした先生の姿勢や考え方と実際の準備が
翌日以降の子どもたちの活動に密接にかかわってくると感じました。

実際に倉庫を見てみると、沢山のおもちゃや、
場の雰囲気を設定する布などがたくさん準備されていました。

開園して10年という園では、ゾーン全体の移動や見直しは行っても学期ごと、
その分、おもちゃ入替や仕掛けで工夫をしているとのことでした。

では現在、自分たちの保育園で事前準備がどれほど出来ているだろう?
と考えた時に現在の課題も見えてきました。

子どもたちの
「OOをやってみたい!」「OOをしてみたらどうだろう?」
という実際の声をできる限り拾い取って、
形にしていくことを職員間で意識はできているけれど、

事前準備に対するスピーディーさや、先生同士の子どもたちの情報共有、
などまだ改善できることがあるように感じられました。

ニュージーランドの研修で学んだこと、肌で感じたことはたくさんあります。

それと同時に、文化的な背景のちがいや
保育園の方針や文化の違いの大きさも痛感しました。

「素晴らしい!」と思ったことを見つけた際、
なんでもそのまま取り入れようとする前に、

まず自分たちの園が大事にしていることや、
わたしたちの子どもたちにとって

どれくらいその学びが価値があることなのか、
日本という社会で生きていく中で大切なことはなんだろう?
と改めて俯瞰するのにとてもいい機会を得たと思います。

実際に、現地の保育園で学んだ素晴らしい点を参考に、
自分たちの園の子どもたちや先生たちにとって
合う方法を考え、実践していく中で
職員同士の日々の会話の内容がより良い方向に変化していっていることや、
子どもたちを見る視点が変わってきたように実感しています。

「子どもたちのワクワクする表情を
より引き出す環境は、どういうものだろう?」と、
環境に対する捉え方が変わり、
日々をアップデートしていく意識が高まっていることを感じます。

このような学ぶことのできる機会に感謝しながら、
これからも、子どもたちと職員と一緒に、
みんなで日々を楽しみながら、わくわくしながら成長していきたいと思っています。